電子制御との格闘記録 電子制御との格闘記録


電子制御絡みの問題で不調だった通勤車RV125EFiですが、やっとセッティングが出て快調になりました。今回、色々と試した事で地元のE店がSYMの車輛は意味不明の不調が出るから扱いたくないと言ってた意味が少し解った気がします。

電子制御の車輛では不調の原因が機械的なものなのか電子制御に起因するのかを切り分けるのが難しいです。厄介なのがセンサー類を交換したとしてもそれだけではセッティングが出ません。ECUに学習させる必要があるのですがその前に設定をリセットしなければなりません。その手順が一般には知らされてないんですね。以前、タペット調整をした時に直後は不調だったのがE店に持って行く途中で快調になったのは、今から振り返ってみるとその走行過程でECUの学習がされた為だと考えられます。

SYM純正の診断器


今回の整備ではSYM純正の診断器を使って電子制御関係の問題をチェックしました。診断器を接続して判明したのはアイドリング不調になってエンストを起こす時には吸気温度がマイナス20度と出たりとかアイドリング目標値に4,000rpm(標準は1660rpm)と出たりとか点火角度253度と出たりとか、色々と異常な数値が出ている事でした。






では、これら異常な数値はセンサーの異常なのかECUの異常なのか? これは実際に部品を交換してみるしかありません。ECUユニットは予備を含め3台持ってるので交換して見ましたがECUを交換してもエラー値は出ていました。ではセンサーの異常かと疑いセンサー部品を取り寄せて交換してみても改善は見られませんでした。

センサーと一緒にインジェクターも取り寄せたのでこちらも交換してみた所、燃料が全く噴出されず。部品の不良なのかどこかに封印がしてあるのか見た目で判別できないので応急処置として元のインジェクターに5-56を吹き付け暫く置いた後に接続してセル始動による燃料噴射。これは狙ったわけではなく新品接続時に洗浄途中だったのを確認のため取り付けた偶然の産物です。元のインジェクターではきちんと燃料が噴射されるので新品に問題があるのは判明したわけで、元の方を取り付ける事にしました。インジェクターを外した時に接続部に汚れが見られたのでこの汚れか何らかの詰まりがあったと推測されます。

その後、部品交換時に必要なリセット作業を行ないエンジンを始動しましたがその時点では明確な改善は見られませんでした。ところが翌日当たりから徐々にアイドリングが安定し、始動時にもアイドリング時にもエンストを起こす様な不調は無くなりました。低回転域でのトルク不足も見られません。

すると原因はインジェクターの詰まりだったのか? しかし物理的な詰まりなら燃料噴射時に吹き飛ばされる筈だし汚れだとしたらガソリンでは除去できず5-56には溶ける汚れと言うのもちょっと想像できません。なので不調の原因がインジェクターだったのかセンサーだったのか複合的なものだったのか明確な事が言えないわけです。E店が言う原因不明の不調と言うのが理解できると言ったのはこう言う事です。

ただ断言できるのはRV125EFi(と言うか電子制御車)に永く乗り続けるなら診断器は必須だと言う事です。部品を交換しても診断器でリセットを掛けたりECUに学習させないと正しい制御が行なわれません。どの部品を交換した時にどんなリセット・学習作業が必要なのかを以下に記述しておきます。

・スロットルポジションセンサーやECUを交換した場合
1.診断器でリセットを掛ける
2.メインキーをOFFにした状態でスロットルを全開にする
3.スロットル全開のままメインキーをONにし3秒経過後にスロットルを全閉にしてメインキーをOFFにする
これによってセンサーが初期化されます。その後診断器を使い、スロットル開度が全閉で0%、全開で100%になっている事を確認します。

・CO値調整の場合
診断器でCO値を調整した場合にはECUの学習が必要になります。
1.一旦メインキーをOFFにする
2.メインキーをONにして30秒経過してからエンジンを始動する
これによってECUの学習が行なわれます。

・エアバイパスバルブを交換した場合
エアバイパスバルブやスロットルバルブを洗浄した場合、ECUを交換した時にはバルブ開度の設定値が変わるため学習が必要になります。RV125EFiではエンジン温度が70〜95度の状態で5〜10分スロットル操作をせずにアイドリングさせます。

この辺の手順はサービスマニュアルにも載ってなかったりする(診断器の説明書には書かれている)ので部品を交換したのにセッティングが出ないと悩んでる人がいるかと思います。ただ診断器が新しいバージョンだと操作手順が異なるにも関わらずメーカーが説明書を作ってなかったりするので実際の整備では試行錯誤が必要になると思います。

SYMは外国(台湾)メーカーですが日本メーカーであっても電子制御の部品が供給停止したりECU設定の機器が廃盤になったりしたらそれが原因でその車輛に乗り続ける事が不可能になる事は簡単に予測できます。そう考えると原始的で単純な造りの方が結局は永く乗り続けられると言う事ですね。

(15/05/2677)