流體力學旭堂・カーボンセラミックスジャケット 流體力學旭堂・カーボンセラミックスジャケット


東京の町屋にある流體力學旭堂。今ではスポーツ關係のお寶のお店としか認識されてませんが'80年代にはバイク用ウェアを作ってました。當時のゴーグル誌に風洞實驗の絲を着けた靴の寫眞廣告が掲載されてたので「あぁ、あれか」と思ひ出す人もゐるでせう。


その旭堂がカーボンセラミックスを素材に作ったのがこのジャケットです。當時の解説によれば戰鬪機等の斷熱材として使用される素材との事。その斷熱性をバイク用冬ジャケットに應用し體温を逃がさない事を狙ったものです。素材が防水性を持つので全天候型のジャケットとしても使へました。


非常に輕い素材であり生地もあまり厚手になってないので運轉時も降りた後も非常に動きやすいジャケットです。プロテクター類は附屬せず裝着するポケットもありませんが、當時の感覺では全身をプロテクターで固める發想は未だ一般的ではありませんでした。

注意して見ると前側を留めるスナップは裾から下二つがマジックテープになってます。バイクのタンクと直接接觸する部分なのでタンクに傷を付けない爲の配慮です。

さすがに古いので判別できなくなってますが、胸の所にはV字型にオレンジの反射ラインが入りバイクの存在を周圍に知らせる樣になってました。このラインは後ろから見た襟の所にも入ってます。

ジャケット自體が防水性能を持つにも拘らず不滿だったのがこの袖口。スナップ式等と違って毎回留めたり外したりする手間は無いのですが、雨の中を走るとこの部分がたっぷり水を吸ひ込みます。雨が上がった後も乾くまでには相當時間が掛かります。好みの問題かも知れませんが、私は水をたっぷり吸ひ込む素材はライディングジャケットには不適だと思ひます。


襟は二重で寒い時にはきっちり閉めると襟元からの風の侵入を防ぎます。外側の襟にはフードが内蔵されてて雨天時に頭部を濡らさない樣になってます。運轉中に使ふ事は無いと思ふので降りた時專用?私は使った事が無いので(^^;


襟のフードを取り出して日に透かして見た所。さすがにカーボンセラミックスが崩壞して剥げ落ちてます(^^;


ポリウレタンと同じで時間の經過により崩壞する樣です。Goldwinのジャケットに使はれたエントラントも10年くらいで粉々に崩壞して使ひ物にならなくなりました。現在Goldwinのラインナップにエントラントが入ってないのはそれが理由かも知れません(^^;

素材の崩壞により防風性能が無くなって了ったのでバイク用ジャケット、特に冬用としては引退です。使ふなら春と秋の比較的暖かい時期だけですね。バイク用でなければ現在でも問題無く使へます。

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