ばくおん&T21286B; 單行本發賣
ばくおん&T21286B; 單行本發賣



 3月19日、連載開始當初から某&T217473;示板にて話題になってゐたバイク漫畫『ばくおん&T21286B;』の單行本が遂に發賣された。&T217473;載誌が滅多にお目に掛かれない事もあり、私も含め單行本の刊行を待つ聲は多かったがこれでやっと最初から通して讀める。長かった…(^^;
 が、置いてある書店が限られてゐた樣で苦勞した人も多いと聞く。私は幸ひにして「それ系」の店が市内にあったので入手出來た。


3月19日發賣なのに3月21日入荷って…これだから地方は(笑)。


特典のメッセージペーパーは一緒にシュリンクされてました。あぁ、折れ目が…


 肝心の内容だが、人の好みはそれぞれであらうが私は結構氣に入った。登場人物達が女子高生と言ふ事もありどんな方向を目指すのかが興味津々であったが、少年暴力團(暴走族と呼ぶより適切であらう)物でもなくレース物でもなく、先づは主人公が&T212E50;許を取得しバイクを入手して皆でツーリングに行くと言った普通のライダーを描く路線の樣である。
 各キャラもそれぞれ個性がはっきりしてをり所謂「キャラが立って」ゐる。恩紗と凜の漫才(?)コンビが一際目立つがこれと一見特徴が無ささうな天然ボケの羽音とのコントラストはそれぞれを引き立て合ってると思ふ。勿論謎の存在來夢先輩は言はずもがな。ただ一人聖だけはやや浮いて見えるのだが。
 聖が浮いて見える理由は恐らく彼女が「バイクが好き」なのではなく「憧れのワルになる手段」としてバイクに乘らうとしてゐるからであらう。


 讀んでて思はず突っ込みたくなる所もあり樂しませてくれる。いくらバイクに關する校則が無くバイク部があるからって女子高にバイク部員がわんさかゐる譯無いだらうとか、ロシア流バイク術って…そんなもん存在するんかいとか…

 ただ突っ込みと言ふより違和感を感じたのが

 引き起こしってそんなに難關か?

 主人公羽音が先づは引き起こしが出來なければバイクを運轉させて貰へないと頑張って引き起こしに挑む。だが、いくら女の子だからって限定解除ならいざ知らず、たかが中型(400cc)の引き起こしがそんなに難關だとは思へないのだが。



 バイク全盛期の頃は中型&T212E50;許を取得する女の子も多くゐたが引き起こしをここまでの難關と考へる人はゐなかった樣に思ふ。女の一生で一人でこれほど重い物を持ち上げるのはバイクの引き起こしだけ、と言ふのはまぁ事實と思ふが。
 實際、私の姊も「RS(※)がナナハンに見える」と周圍に言はれる程の體格だったが普通に中&T212E50;を取ってゐたし引き起こしでは泣きさうになった等と聞いた事も無い。

 最近ではいくら&T217A2E;習してもクラッチ操作や一本橋が上手く出來ないとか原付の學科試驗で何度も落ちるとか(Yahoo!智恵袋の質問で良く見られる)曾ての感性からはあり得ない人が多くなってゐるので引き起こしもそんな感覺で捉へられてゐるのかも知れない。クラッチ操作なんて、ゼロハンスポーツが盛んだった頃はいきなりクラッチ付きのバイクで公道に出るのが普通だったんですけどね。あんなの5分も走れば體が覺えますがな。かく言ふ私もバイク屋まで引き取りに行ってそのまま運轉して歸りましたよ、初めてのクラッチ付きバイクで。


※ホンダCB250RSの事。私の姊が乗ってゐたバイク。250cc單氣筒のエンジンを積みスリム輕量が賣りのマシンだったが、それがナナハンに見える程私の姊は小柄だったのだ。モデルチェンジによりキックペダルを廢しセル始動となったCB250RS-Zもあるが、姊が乗ってゐたのはキックのみのモデル。當然キックでエンジンを掛けてゐた。


キック始動のCB250RS。スズキRG250と共に250ccの魅力を知らしめた名車。


こちらはセル始動のRS-Z。キックペダルが廢されてゐるのが判る。


 バイクの價格が高校生には手の届かない領域に達した昨今、彼女ら女子高生がどの樣にバイクを手に入れるのか展開を樂しみにしてたのだが上手く纏めたものだ。恩紗のセローは實家がバイク屋で廢車二臺を合體させた物。なるほどこれなら費用は殆ど掛かってない。凜のカタナは親のお下がりなのでこちらも同じ。問題は今までバイクと全く縁が無かった羽音だが恩紗の實家から格安で購入。この「格安」の理由が實は恩紗の實家が水没車やメーター戻しを當たり前に販賣するとんでもないバイク屋だからと言ふのが凄い(笑)。解體屋でもここまではしませんがな。



 そんな實態故に羽音が自分の店でバイクを買ふ事に反對する恩紗だが、結局自分が整備をする事で羽音の信頼に應へやうとする。まぁ水没車やメーター戻しと書いた紙を片っ端から貼ってゐた來夢先輩が「きゃわいい><&T21263D;」と薦めてゐたのだから大丈夫なのであらう。




 さすがと言ふかよくぞやってくれたと思ったのは羽音がバイクの魅力に目覺める件。バイクの魅力は實際に乘らないと解らない。夏は暑いし冬は寒い。雨が降れば當然濡れる。にも拘はらず何故バイクに乘るのか? その魅力に目覺める心情、文章や寫眞では表現不可能な所を漫畫ならではの表現力で見事に描いてくれてゐる。作者自身がバイク乘りでありその魅力を知ってゐるからこそである。





 加へて羽音が&T212E50;許を取得しバイクも手に入れ實際に公道に出る場面。ここでのさりげないワンポイントも見逃せない。作者氏、バイクの事を良く解ってらっしゃる。



 そんな感じで『ばくおん&T21286B;』は期待を裏切らず面白かった。スズキの扱ひが何と言ふか…私はスズキを特に變だとは思はないのだがこれはネット&T217933;會以降の風潮を反映してゐるのであらう(^^;
 初版は店頭在庫も少なく入手出來なかった人もかなりゐた樣であるが、増刷も決定したみたいだしこの勢ひで作者氏には頑張って欲しいと聲援を送りたい。しかし第2卷は約一年後か。また長いなぁ…

(28/03/2672)